大判例

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東京地方裁判所 昭和41年(手ワ)2474号 判決

別紙中の当事者目録に記載のとおりである。

二、主文

1  被告は原告に対し四〇〇万円及び内一〇〇万円に対する昭和四一年二月二八日から、

内三〇〇万円に対する昭和四一年三月三一日から、

各完済までの年六分の金員を支払わなければならない。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  この判決は仮に執行することができる。

三、事実

1  原告の請求の趣旨は主文第一、第二項と同旨の判決及び仮執行の宣言を求めることで、請求の原因及び被告の抗弁に対する主張は別紙中のその記載のとおりである。

2  被告の答弁及び抗弁は別紙中のその記載のとおりである。

3  証拠関係≪省略≫

四、理由

1  原告主張の請求原因事実については当事者間に争いがないので、他に特別事情がなければ、原告はその主張の本件各手形の正当な権利者として被告に対し、本訴請求をなし得べきことは明らかである。

2  そこで、被告の抗弁についてみるのに、まず、本件各手形の原告に対する裏書人訴外有限会社柴山光学芯取得と同会社に対する裏書人訴外カープ光学工業株式会社の代表取締役がいずれも同一の柴山卓夫であることについて当裏書者間に争いがない。

次に、右両訴外会社間における裏書について裏書会社の取締役会の承認がなされていないことは証人柴山卓夫の証言によって明らかである。

しかし、右取締役会の承認がないことは、原告の本件各手形上の権利取得に影響を及ぼさない。すなわち、本件各手形の裏書欄に前記訴外カープ光学工業株式会社の裏書行為について同会社取締役会の承認を経ている旨の付箋が貼付されていることについて当事者間に争いがなく、≪証拠省略≫によれば、前記両訴外会社はいずれも小規模の会社であって、訴外柴山卓夫の個人企業と同様に支配運営され、取締役はすべて同訴外人から株式または出資金名義を与えられた者であること、原告金庫と訴外有限会社柴山光学芯取所とはかねてから手形取引があり、訴外柴山卓夫が割引を受けるため本件各手形を原告金庫に裏書譲渡するに当って、原告金庫係員から訴外カープ光学工業株式会社取締役会による前記承認の証明を要する旨注意されたので、右係員から用紙の交付を受けて前記各付箋を作成貼付したこと(もっとも≪証拠省略≫をみると文言、形式が同じではないので同時に同一場所で作成されたか否か疑わしい)、それで原告金庫としては訴外カープ光学工業株式会社取締役会の前記承認があったものと信じたことなどが認められるところ、以上の各事実を総合すれば、原告金庫は訴外カープ光学工業所の前認定規模、運営形態などを推察していたであろうから、たとえその付箋の記載内容に多少の誤りや形式の不備があろうとも、その記載のみを信頼し、または仮りに右のような付箋もなく単に訴外柴山卓夫の言明のみを信用したとしても、前記のような形態の会社にあっては簡単にいつでも取締役会の承認がなされ得るものと信じ、また、その承認があったものと信ずることは通常であるというべきであり、進んで別途の手段をつくして所要の取締役会承認の有無を確認しなかったとしても、これを重大な過失があったとはいえないからである。

そして、以上のとおり、原告が前記訴外会社取締役会の承認がなされたものと信じ、そのことに重大な過失がなく、本件各手形における裏書記載が原告に至るまで連続している以上(その連続記載の点は当事者間に争いのない請求原因事実によって明らかである)、右裏書記載に相当する権利移転がないことについて原告がこれを知りまたは重大な過失で知らなかったことの主張立証が他にない本件では、原告が大件各手形の正当な権利者であるとするほかはない。

3  そうとすれば、結局被告の抗弁は理由がなく、原告の本訴請求を排斥すべき特別事情はないことになるので、右請求を認容することとし、民事訴訟法第八九条及び第一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(判事 畔上英治)

<以下省略>

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